私は、クラッシックホテルが好きだ。
そこで過ごした人々の何かしらの気配が、 歴史の重みとともに伝わってくるからだ。
たとえば軽井沢の『万平ホテル』は、そういう私の想いに答えてくれる。
和と洋が調和しているアルプス館の客室。
アップルパイがおいしいカフェテリア。
重厚なステンドグラスのメインダイニング。
そうだ、バーもとりわけいい。
そこに集ったであろう人々の誇り高き時が刻まれている。
私にとって、何度でも泊まりたいというホテルとは、そういうものなのだ。
あっ、もうこれ以上褒めるのはやめておこう。
予約がとれにくくなると困る。
旧軽井沢の万平ホテル周辺は、ときおり霧が立ちこめて
湿気が多い。
必ずしも住みやすいといえないかもしれない。
だけど、それこそが私にとっての軽井沢なのだ。
ホテルで自転車を借りて 旧軽井沢を巡る。
遠くから聞こえる鳥たちのさえずり。
それぞれに趣のある古い別荘。
白樺の木立。
苔むした大地。 清々しさを含んだ空気。
そのどれもが、私に心地よさを与えてくれる。
あっ、また次の夏もここに来ようと思ってしまうのだ。
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